超高齢社会をインテリアから考える暮らし住みやすさ研究会【ちょイ*ラボ】(JAFICA研究会)主催、広島県インテリアコーディネーター協会協力のセミナーイベント
『チョコよりちょイ*ラボ 100歳住宅~超高齢社会の「暮らしやすさ」をインテリアから考える』
へ参加してきました。
3部構成の第1部は、(株)住宅デザイン研究所 代表取締役・金堀健一氏による講演会
「超高齢化社会でのインテリアコーディネーターの役割」
(株)住宅デザイン研究所は、建築・不動産に関わる様々な事業を展開されている広島の企業様で、インテリアコーディネーター育成を主としたスクールも運営されています。
講演会のタイトルにある通り、超高齢社会の現状とこれからの人口推移について、家庭内で起こりやすい高齢者の事故について、高齢者向け住宅施設の内装が介護者側視点(管理しやすい、清掃しやすい等)で作られていることに対する危惧といった、インテリアコーディネーターが知っておくべき基本的な事項に続いて話されていたのは、今後生き残るインテリアコーディネーターの具体像についてでした。
なるほど「誰よりもインテリアコーディネーターを理解している男」だと自己紹介をなさっていた通りの視点だなと、非常に興味深く拝聴したお話を、いくつかピックアップしてご紹介したいと思います。
(左でマイクを握られているのはご挨拶中の松本佳津先生、奥は司会進行の田部さんです。)
まず1つめ
高齢者についての教科書的特性とは
①体が弱くなる
②精神が弱くなる
③社会から隔離される
等が挙げられ、インテリアコーディネーターは、高齢者のこのような特性に適した対応が必要である。
というのが教科書的な正解であり、実際スクールではそう教えている。けれども、ご自身の親御さんや周りの高齢者と接していてつくづく思うのは
①自分は不死身だと思っている
②自分は正しいと頑なに思っている
③近隣や地域のことを知り尽くしている・特定の分野にとてつもなく詳しい知識を持つ
という教科書的な高齢者の特性とは相反する実態があることで、こういった個々の気持ちに対応できる(寄り添える)インテリアコーディネーターが生き残り(でなければ生き残れない、ともいう)、教科書的対応をしていては、じきAIに取って代わられるだろう。2つめ
AIへの代替の可能性が低い職業のひとつに、インテリアコーディネーターは含まれている。
但し、教科書通りのことをやっていてはAI化される。
心のバリアフリー提案といった、人間にしかできないこと、人間だからこそできることをやっていかなくてはいけない。
職人は残るが建設作業員はAI化されるといわれるように、決まったことをやるならAIで済むのだ。
みんなAIに仕事を取られることなんてないと思っているだろうが、その日は突然、必ずやって来る。
自動運転の車が街を走るようになると、10年前本気で思っていた人がいただろうか?
インテリアコーディネーターには高いコミュニケーション能力が必要だ、これがなければ生き残れない。3つめ
インテリアコーディネーターが「情熱大陸」に出られない理由は何か。
”下請け業務”をやっている割合がとても多いからだ。
インテリアコーディネーターは”元請け”にならなくてはいけない。
ワンストップで業務を請け負えるようになること。4つめ
ブームになっているDIYには、縦軸と横軸がある。
クロスも貼れる、木工もできる、左官もできるといった、万能職人的DIYが横軸。
そしてこれから重宝される存在となるのが、インテリアコーディネートもできる、営業もできる、クロスも貼れるという縦軸DIYであり、インテリアコーディネーターが十分なり得る。
特に高齢者には分離発注は難しく(”無理”に近い)、ワンストップでないと頼みづらい。
「全部あんたに頼む。」と言われるインテリアコーディネーターになること。
ワンストップで仕事を請けるための仲間(専門家)を構築すること。5つめ
「良い家だね」と言われる家には、必ずインテリアコーディネーターが関わっている。
設計や構造計算といった専門外のことは、その専門家がやってくれる。
お客様も仕事仲間も、とっつきにくい凄腕の建築家より、コミュニケーション能力の高いインテリアコーディネーターの方が一緒にやっていて楽しい。結果的に良い家になる。6つめ
お金の話の主導を握ると、さらに有用な話が進められる。
(お金とはこの場合、リフォームローン等のこと)
「リバースモーゲージ型住宅ローン」の知識をつけておくこと。
日本ではまだあまり知られていないが、今後必ず注目される。
独自の視点から深く掘り下げられたお話は、私にはとても勉強になったのですが、いかがでしょうか。
金堀先生は「ワンストップ」という言葉を繰り返し使われていましたので、そこへ非常に強い思いを持たれているのがよく分かりました。
また、インテリア=内装という意味だけれども、インテリアコーディネーターは内装だけをやる人ではない、インテリアコーディネーターという名称もどうかと思うが変更は難しいだろうから、位置づけを我々が変えていかなくてはならない、ともおっしゃっていました。
雑談を含めると、他にもいろいろためになるお話があったのですが、分かりやすくまとめられる範囲で書いています。
インテリアコーディネーターのみなさん、ぜひご参考にどうぞ。
第2部については改めてレポートをまとめたいと思います。
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