date | 2018.1.24
究極の美の源泉は・・・映画「ドリス・ヴァン・ノッテン」ファブリックと花を愛する男

ドリスヴァンノッテン映画

これはよかった、本当によかったです。
どうしても見たかった映画「ドリス・ヴァン・ノッテン」ファブリックと花を愛する男。

ファッションデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテン氏が自分の口で語る、世界観、私生活、自身のこと。
途中スーッと意識が遠のいていきそうに(つまり寝落ちしそうに)なったのは退屈だったからではなく、柔和な表情と穏やかな語り口調がなんとも心地良かったからです。

この93分間に、心に染み入る言葉がどれほどたくさん語られたことでしょう。
セミナーなら必死にメモを取るところなんですが、さすがに映画館でそれはできず、見終わった後、思い出しながら書き留めておいたいくつかをご紹介しますね。

生地は、フィットする組み合わせを”待つ”。
ドリスは「魔法なんてない」という言葉を映画の中で何度も語っていました。
考えるのではなく、ただ”待つ”。
そのために生地の数が必要なのだと。

ドリスヴァンノッテン映画

服作りは、まずデザイン画を描くのではなく、まず生地を作る。
インドの職人を守るために必ず刺繍生地を使い、労働環境を改善するために工場を建て、ブランドのクオリティを維持するためにスタッフを常駐させる。
「手仕事は尊い。作り手の心が入る。」
ファブリックを愛するとはここからなのかと唸らせる、まさにファブリック愛です。

 

一緒に暮らし始めて約30年。
「ただ歩んだ。」
大変だったことは?と聞かれ、少し考えてから小さく首を振りつつ答えた、公私に渡るパートナーのパトリック氏。

ドリスヴァンノッテン映画

 

こだわる性格だそうで、枝ぶりから小さなオブジェの位置まで、数ミリずつの調整を何度も何度も繰り返す2人。
完璧に整えられた室内は圧巻です。

「ここには必ず黄色い花を挿す。椅子の生地の色と合わせるんだ、インテリアが揃う。」
そう言ってドリスが指したのは、とても小さな花器に活けられた花のうちの、ほんの一部でした。
そんなところに、そこまでこだわるんですね?ちょっとびっくり。
インスピレーションの源は、この美しく完璧な暮らしにもありそうです。

ドリスヴァンノッテン映画

 

「家事も庭仕事も、全力でやる。」
「ここで自分がやるべきことを一生懸命に考える。」
オフは仕事のことを考えない、というレベルの話ではちょっとない感じの、超完璧主義者。
旅行は時間割(35分~42分で移動、など)を作成とか、オフはオフで、全力。

ドリスヴァンノッテン映画

 

「ファッションという言葉は好きじゃない。
ファッションの賞味期限(的な意味合いの言葉)は半年、世間はそう見る。
タイムレスな服を作りたい、着る人によってアップデートされていく服を。」

ドリスヴァンノッテン映画

 

「魅力的な服を作る魔法なんてない。」
「魅力的な服には誠意と情熱が、リアリティがある。」
「作り手の心が大切だ、意思を育てなければ。」

ドリスヴァンノッテン映画

 

「ショーはヴィジョンを披露する場。自分はこういう思いを表現したのだと知ってもらう場だ。
あとは着る人が自由にどうぞ!」

ドリスヴァンノッテン映画

 

そしてラストを飾るのは、オペラ座で発表した2016/17秋冬メンズ・コレクション。
カッコよかった。
ファッションに限らず、ものづくりに携わる人にはたまらない珠玉の言葉の数々がギュッと詰まったこの映画、映像の美しさ、見終わった後の心地よさとともに、オススメです。

以下私の心の声・・・
オペラ座!
少し意味は違うけど、私知ってる、オペラ座!
→最高を提供し続ける”美”と”日常”「新世紀、パリ・オペラ座」

 


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