Kartellと聞いてまず頭に浮かぶアイテムが、人によってそれぞれあると思います。
私は、ルイゴーストのクリア。
プラスチックなのにチープじゃない、かといってすごく良いモノにも見えない、でもモデル(ハウス)に映える不思議な椅子。
その昔、モデルに納品された現物を初めて見たとき、そんな風に思ったのを覚えてます。
「透明。」
Kartellと聞いて、まずどんなイメージを持たれますか?と、昨日、セミナーの冒頭で指された際に、そう答えました。
今日のブログは昨日からの続きです。
いきなりこのページへ来られた方はこちらもどうぞご覧ください。
→キッチンがインテリアの中心になる世界@トーヨーキッチンスタイル大阪ショールーム
座り心地についてだけ読みたいという方はこちらをどうぞ。
→Kartell(カルテル)のイスの座り心地について
インテリアコーディネーター向けセミナー「Kartellについて」
Karellは、デザイナーの意向をスポイルしない。
これは何かというと、デザイナーの意向を忠実に商品化しますよ、といった意味合いです。
そのためにも有名デザイナーを起用する、という方針がとられており
日本人デザイナーとしては、佐藤オオキ氏、吉岡徳仁氏が起用されています。
Kartellは、「カルテル」と読みます。
プラスチックの家具、透明の家具、そんなイメージを持っている人が大半だけれど、カルテルって実は・・・という
主にカルテルの変遷についてのお話を伺いましたので、内容をまとめたいと思います。
kartellの変遷
Kartellは、1949年に創立された、イタリア・ミラノの大手デザイン会社。
創立者のジュリオ・カステッリは樹脂化学者。
当時まだ新しい材料だったプラスチックの強さを証明するため、スキーキャリアを製作。
カー用品からスタートし、次に手掛けた日用品3種(※)がコンパッソ・ドーロ賞を受賞。
(※)蓋付バケツ・ハンドル付ちり取り・レモン絞り器1959年、フライの原型となった照明器具の後、照明器具デザインからは長く離れる。
1960年~1970年、イタリアンデザイン走りの時代に出されたABS樹脂製のコンポニビリは、カルテル収納家具の名作として知られている。
デザイナー、アンナ・カステッリは、創立者ジュリオ・カステッリの妻。1980年~1990年、転換期。
1988年の社長交代により、有名デザイナーが起用され、意匠的製品、特徴的製品が発表される。テーブル、マウイ(椅子)等、プラスチックとスチール(金属)の組合せが特徴。
ファッション業界において早くから経営に参画していた新社長クラウディオ・ルーティーはジュリオ・カステッリの娘婿。2000年~、「透明」の時代。
ポリカーボネイド製ラマリーを発表。(デザイナー/フィリップ・スタルク)
コンセプトは「強く、透明で、存在感のない椅子」
”ラ・マリー”は、イタリアのごく一般的な女性の名前。存在感のなさをネーミングでもアピールしている。
続いてルイゴースト、3年後、ビクトリアゴーストを発表。
この2点は肘掛あり、肘掛なしとカテゴリーされやすいが、実は全く別物。
座面等細部のデザインが異なり、ビクトリアゴーストはラマリーのデザインに近い。ビクトリアゴーストの3年後、パピルス、マスターインポッシブル、スーパーインポッシブルの発表。
硬く加工の難しいポリカーボネイドだったが、技術の進歩に伴い、脚のデザインが洗練された。
ラマリーからスーパーインポッシブルまでの製品を見ていくと、その変遷が分かる。
2008年、アミアミ発表。デザイナーは日本人の吉岡徳仁。
2016年、ピウマ発表。
カーボンファイバーとポリカを組合わせ、座面の厚み2㎜、総重量2.2㎏を実現。
主に椅子についてまとめてみました。
次に、文中に出てきた製品の画像を挙げてみます。
代表的な製品
パピルス(クリア)は、TV番組アナザースカイのセットリニューアルを手掛けたデザイナー・佐藤オオキ氏が、ニュースタジオに起用したことから、問い合わせが激増しているそうですよ。
アミアミ(デザイナー/吉岡徳仁)は、実際に籐を編んだときにできる、材料と材料の間の穴まで忠実に再現されています。
吉岡氏はこだわりのかなり強いデザイナーなのだとか。
そして最もよく売れているという、マスターズ(黒)。
価格も30,800円と手頃ですし、ご存知の方も多いんじゃないでしょうか。
kartellマスターズについて
この椅子は、インテリアコーディネーター試験を受けた人ならきっと、誰もが必死に覚えた不朽の名作
・セブンチェア(アルネ・ヤコブセン)
・シェルチェア(チャールズ&レイ・イームズ)
・チューリップチェア(エーロ・サーリネン)
の、アウトラインを重ねたデザインなのだそうです。
言われてみると、はい、はい!っとなります。
詳しく見てみたい人は、調べてみてくださいね。
実はマスターズ、発売前に、社内で物議を醸したのだとか。
「パクリちゃうの?ええの?」ということですね。
「これらのデザインをスタイリッシュに融合させることで新たなデザインが生まれるのだ」
これが、デザイナーのフィリップ・スタルク氏の見解です。
マスターズの座面の裏には、元となった3種類の椅子が明記(刻印)されています。
こういう背景を知っていると、単にカッコいいというだけではなくて、また違った見方ができるので面白いですね。
お友達にウンチクだって言えちゃう。(嫌われない程度にどうぞ)
お値段が倍になる、メタリックカラーもあります。
そして気になるのは、プラスチックの椅子って座り心地がどうなのだというところじゃないでしょうか。
「日本のメーカーが、座り心地を科学的に研究して制作した、日本人の体格に合う精度の高い椅子」などとは、比べること自体に無理があるということを、まずご理解いただいて・・・
「最高!」ではないです。
そもそもプラスチックのクッション性はゼロですから、そこは推して知るべしかなと思います。
でも、カッコいいんです。
デザインもカッコいいし、それが置いてある空間もカッコいい。
そういう椅子の選び方もあるということです。
こちらもあわせてお読みください。
→Kartell(カルテル)のイスの座り心地について
kartellカブキ
最後にスタンドライト、カブキ。
「カブキ」というネーミングは、歌舞伎役者そのものをこのフォルムへ表現しているところから来ています。
日本人の見る歌舞伎と、外国人から見るカブキは、きっとイメージが異なるんだろうね、そんな話をしながら見ていました。
このスタンドは、電球も含めてカルテルが独自に制作しています。
ランプが切れたら交換はできません。耐久期間は推定30年。
価格は、134,900円です。(2017年11月現在)
30年間夢を提供してもらうことの対価として、十分納得できるかな、そんな風に思います。
◆『リフォーム&リノベ―ション インテリアコーディネーター名鑑 2017』へ掲載していただきました。
◆『リージェンシーにモダンと毒を』 世界にひとつの自分らしい家づくりを応援するWEBマガジン・イエマガ「海外ドラマの間取りとインテリア」へ執筆させていただきました。
◆ジオインテリアワークスは、神戸のインテリアデザイン事務所です →ABOUT
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