東京・青山のミノッティへ訪ねてからほどなくして、神戸のミノッティにも訪ねてみることになった。ショールームは、大阪・御堂筋よりも世界観が合う、という理由で選ばれた旧居留地にある。
【Minotti AOYAMA】上質なインテリアに触れる、東京・青山散歩
最先端のモダンインテリアが体現されたMinotti KOBE。磨き上げられた重厚なガラス扉を開けると、世間とは一線を画した世界が広がる。広さは青山とほぼ同じ約400㎡で、1F、2Fにそれぞれ展示がある。ちなみに、神戸には香りの演出はなかった。
この壁面に貼られているのは、ステンレスだ。繊細な光沢が家具を引き立て、空間に毅然とした品を添えている。奥には2Fに続く階段がある。
階段はオールモルタルでめちゃめちゃカッコいいのだが、さらにカッコいい”手すり”に注目してほしい。壁を掘り込んだ中に照明が仕込んであり、もうこの階段と手すりだけで、階段室そのものが悶絶レベルのカッコよさなのだ。例えるなら、1㎜も贅肉のない引き締まった身体を眺めているような感覚だ。
しつこく手すりをアップ。一緒に行ったインテリアコーディネーターの友人が「これやってみたい」と見惚れていたので、悶絶していたのはわたしだけではないみたい。
2Fではベッドルーム、ダイニング、リビングと一通りの展示を一度に見ることができる。このラグは、色によって異なる材料が使われていて、踏み心地がそれぞれに違っておもしろい。ストライプの幅と間隔は一定ではなく、ランダムなのだそうだ。さすが、ここまで大きくても印象が単調にならないのがすごい。デザインは緻密な計算あってこそ、と思い知らされる。
ディスプレイに、ご当地ウィスキーが使われているのを発見。装飾品類のディスプレイは、どのショールームもすべて、イタリアの女性デザイナーの方が担当されているそう。僕たちも1㎜も動かしてはいけないのです、と青山でスタッフの方に聞いた。
自然光がガラス面いっぱいに差し込み、心地いい。こちらのソファでしばらく、我がリビングのようにくつろぎながら、ご案内くださった担当の方にいろいろお話を伺った。ショールームを来訪されるお客様の居住地は、主に大阪、西宮、神戸、岡山。特に神戸は一戸建て、岡山はマンションと、顕著な傾向があるそうだ。
ガラスで区切られたダイイングルーム。モニターがセットされており、打合せにも使われる。美術館のようなこのビジュアルがまたカッコいい。右側は階段、左側通路を進むと、奥に打合せ室がある。
貼地サンプルは、打合せ室に全色揃えられている。テーブルの脚がゴールド色なのを見て、みんな一心不乱に写真を撮った。何せ珍しさ、美しさには敏感なのだ。きれい、きれい、と盛り上がっていると、担当の方が申し訳なさそうに後方から声をかけてくれた。
「実は、脚はシルバー色なのです。ラグが映り込んでおりまして・・・」
あら。よくよく脚をのぞき込むと、はい、間違いなくシルバーでした。
「ちょっとした遊び心で。」
んもう、遊び心で映り込ませているんですね。デザインは緻密な計算あってこそ、だった。そうだった。
再び1Fへ。改めて外を見ると、車の往来が少なく、行き交う人の団体もほとんどなく、瀟洒な建物とグリーンを借景に、時間が静かに漂っている。この街並みにミノッティの世界観が合っている、という言葉が説得性を増して感じられた。
圧倒的な世界観。青山でも感じたのと同じエネルギーと空気が、ここにもある。
もしこれらの写真を見て、そう素敵だよね、ああいいよね、と言うならそれは嘘だ。視覚で画を認識し、文字で情報を得るだけなら、AIの方がよほど賢いことを言う。本質に触れる。その場で体感して掴む感覚の方が、わたしたちにははるかに重要だ。
最後にお約束の記念撮影。
向かいは、オリエンタルホテル神戸だ。
オリエンタルホテル神戸のエントランスを出て、この通路を抜けると、Minotti KOBEがある。
オリエンタルホテル神戸も、上質なインテリアに触れられる場所だ。
ガヤガヤと見学に行くのではなく、食事やお酒をスマートに楽しみたい。機会があれば、ぜひ。