素敵か
うちにはネコも犬もいる。
ネコはともかくとして、犬の留守番が続くと心が痛むので、連れていける先には連れていくようにしている。
目的の地に着いたら、一緒に”町ぶら”する時間をあらかじめスケジュールに組んでおく。
そんな流れで先日、大阪を町ぶらしていると、道の向こうから黒ラブを連れて渡ってくる女性が見えた。
同じ犬種のオーナーさんとは情報交換したくて、よほど怖そうな人でない限り、いそいそと話しかけにいく(うちの犬はラブラドールです)。
その女性とは会話がはずみ、自宅のつくりの話になった。
「うちは2階リビングで、1階を土間にしてるんですよ」
「スリット階段は(犬が)怖くて登れないみたいで笑」
「だからこの子は1階で過ごしてますね」
土間?
スリット階段?
素敵か。
土間とスリット階段
大型犬におすすめのサイトだから、と検索のために教わった簡単なスペルを短時間でキレイに忘れ、帰宅後の頭に残っていたのは「土間」と「スリット階段」だけだった。
せっかくだからスケッチでも描いておこうと思ったのだけど、妄想のパース描きを楽しむ余裕がない程度に立て込んでいる。そもそも短時間でサラリと描けないし。
そうだ、あの場所。
思いついてGoogleフォトをさかのぼること数年。
土間にスリット階段、はい!
京都にある、たしかコワーキングスペースだった。
訪れはしたものの名前を覚えておらず、今どうなっているのかも知らないのだけれど、こんな感じじゃない?
粋な選択
『スリット階段』、『スケルトン階段』、『シースルー階段』、いろんな呼び方があるらしいのだが、指しているものは一緒で、”踏板と骨組みだけで構成された階段”のことだ。
企業に勤務していたころ、設計部ではこれを『ストリップ階段』と呼んでいた。
ストリップもシースルーもなにやら語感が淫靡。呼び方投票があるとすれば、『スリット階段』に一票を投じたい。
スペースを有効活用しようと、階段下はどうしても収納庫になることの多い日本の住宅にあって、階段にたっぷりの余白をとる選択には、粋を感じる。その人の感性が伝わってくる。
黒ラブを連れた女性に、私は勝手に好意を持った。
おしゃれか
「今から一緒に仕事へ行くんですよ。」
別れ際、彼女はそう言った。
「うち店をやってて、この子は看板犬。自転車屋です。」
おしゃれか。
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