今日も高砂ショウハウスで、あなたとの出会いを待つ古物たちの話をしましょう。
今夜は『絵皿』の話です。
幕末、輸出のために作られた絵皿があります。
背面に小さくつけられた”JAPAN”の文字。分かりますか?
この鮮やかな藍はベルリンから入ってきた色、通称”ベロ藍”と呼ばれ
日本で古くから使われてきた藍、”呉須(ごす)”とは趣を異にしています。
ハイカラな外国を意識してのことなのか、この時代としてはポップな絵柄が特徴的。
オランダのデフォルト焼は、日本のこの技術を模倣して出来たものだとか、そうではないとか・・・。
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流浪の時を過ごしてきました。
海を渡り、異国をさまよっていたころ
再びこの国へ戻ってこられようとは夢にも思いませんでした。
『輸出用印判楼閣図七寸皿』
これは、わたしを識別するための符号にすぎません。
わたしの本質を何も物語ってはいないのです。
けれど甘んじて受け入れましょう。
あなたがわたしを探す手がかりになるのなら。
わたしを探しにきてください。
わたしの見てきたいくつもの時代を、あなたに語って聞かせましょう。
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海の向こうへ思いを馳せてください。
素敵な夜を。