第7回JAFICAアカデミー・『溶ける機能-インテリアデザインの経験』を拝聴した。講師は、第6回アカデミーの終盤にトークで登場いただいた、インテリアデザイナーの飯島直樹氏(飯島直樹デザイン室)である。
⇒『空間』を創造することは最も総合的な芸術でもある
インテリアデザイナーとしての50年のご経験を、代表的な作品の解説とともにお話しくださるという贅沢なセミナーで、会員以外にも多くの方の参加があった。内容をきれいにまとめるのがが難しいので、心に響いたワードを書き留めた、私のメモをシェアしたい。
〇モノの在り様に肉薄したデザイン(1981 まるハチ)
被覆するインテリアデザインを否定し、コンクリートの生々しい状態をそのまま活かす。当時としては画期的なデザイン。〇クリエイションが大切な時代(西武百貨店)
池袋の場末のデパートが、世界の最先端に躍り出た10年間。糸井重里、石岡瑛子など、そうそうたるクリエイターが関わった。〇西武のスーパー「SEIYU」の商品を売るための店舗だった(無印良品第1号店)
今、”世界の無印”に。〇日本で鉄板を加工し、日本から職人を6人連れて行き施工(ニューヨーク JUN)
バブル絶頂期直前。コムデギャルソン、イッセイミヤケなどがこぞってNYに出店した時代。
アンディ・ウォーホル、デュラン・デュランらNY最先端のクリエイターがオープニングパーティーに集まった。〇彼は、サブカルがカッコいいと気づかせてくれた存在(1987 伊丹十三邸)
伊丹 十三 『女たちよ!』は、お勧めの著書。〇4,000万円のステンドグラス(リストランテ)
100万円/坪が高級とされたバブル絶頂期。
150万円/坪の見積りを出してみたら、200万円/坪の(クオリティの)見積りを要求された。〇個人邸もいくつか、足場板でテーブルを作ったり。(写真家・上田義彦邸)
現在の奥様は桐島かれん〇五感(5S)に適応するデザイン(19985S・資生堂)
ディスプレイは吉岡徳仁〇街の界隈になじむエントランスデザイン(2008~2021 PMO・野村不動産)
1階にはテナントを入れず、必ず空けておく。約60棟(大阪2棟)を手がけた。〇環境は人を変える(ラーニングコモンズ・工学院大学)
30万円/坪のローコストで作った。
だんだんね、学生がおしゃれをしてくるようになったんです。ごはんをきれいに食べるようになって。だらしない寝ころび方をしなくなって。なんかPC広げて勉強するようになって。〇自然素材は溶け込んでいく(2018~2024 STONES)
50年やってきた今、マテリアル(地球上にある、あるがままの素材)に体が向くようになった。
石はエロい。今あるのは、地球で何千年も生成変化を重ねた鉱物の姿。そんな意識を持つと、見方が変わっていく。
この回の会場は、サンゲツ日比谷オフィス。オフィス内見学の様子はこちらをご覧いただきたい。
⇒【最新オフィス見学】サンゲツ日比谷オフィス
すごい方だった。最先端のクリエイターたちと共に駆け抜けてこられたご本人から、今となっては夢か幻のようなバブル期に作られた空間の話を聴けるなんて。超有名人の名前もポロポロと普通に出てきて、何度となく飯島先生を二度見した。「石岡瑛子」と耳に入ったときは、三度見くらいした。石岡瑛子さん、大好きなのだ。クリエイションが大切な時代、パワーとパッションが炸裂する熱い時代の片鱗を垣間見せていただいて、めちゃめちゃ感激した。
最後に、飯島先生を囲んで記念撮影。
右隣の、JAFICA・江口会長が手にされているのは、『Melting Function』Naoki Iijima’s Design Method。飯島先生2冊目の作品集だ。この日お話をうかがった作品やデザイン思想などを含む飯島イズムが、392ページにギュウっと集約されている。
気になる方は、ぜひ手に取ってみてほしい。